公開日: |最終更新日時:
FXは他人資本を使用して自己資本の利益率を高める投資法なので、少しでも為替が変動すれば大きな利益を得ることができます。その反面、多額の証拠金を手放す可能性もあることを忘れてはいけません。FXには強制ロスカットという証拠金以上の損失を出さないようにするシステムがありますが、レートが急変動すると強制ロスカットが追い付かず、多額の損失が発生する可能性があります。
また、ハイレバレッジでの取引はリターンが大きい分、リスクも大きくなります。とくに、海外FXは100倍以上のハイレバレッジも可能なので(日本では最大25倍まで)、少し為替が変動しただけでも巨額の証拠金を失い、借金がふくらんでしまいます。
「ハイレバレッジで取引して多額の借金を背負ってしまった」「負けた分を取り返そうと、お金を借りてつぎ込んだがまた負けてしまって…その悪循環で辞めるに辞められない」とFXによる借金がかさんでしまって、頭を抱えている人もいるでしょう。こちらでは、FXの借金が膨らみすぎてどうしても払えない場合、債務整理はできるのかを解説します。
FXや株などの投資はギャンブル性が高く、自己破産手続きにおける免責不許可事由に該当します。借金を帳消しにする免責が認められる自己破産は原則不可能ですが、実は例外もあるのです。
具体的には、投資にかけた金額や取引の態様、反省度合いなどを大局的に評価し、裁判所が裁量により免責を認めることができます。これを裁量免責といい、初めての自己破産では明らかに悪質なものを除き、裁量免責が認められるケースが多いようです。
自己破産を申し立てて手続きを始めたにもかかわらずFXを再開した場合、本人に十分な反省の態度が見えず、経済的な生活再建も見込めないと判断されます。もしも借入の経緯に同情可能な事情があっても、これでは裁量免責を求めるのは難しいでしょう。
手続きを開始した後に与えられた給与などの一部を娯楽に使用するのは許容範囲ですが、再度免責不許可事由に該当する行為へ使用するのは許されません。
一口に免責不許可事由といっても、悪質さの度合いはさまざまです。しかし、免責不許可事由が複数存在する場合は悪質さの程度が高いとされるので、裁量免責が承認されにくくなります。
FXで借金を抱えた人にありがちなその他の面積不許可自由としては、浪費や賭博、詐害行為、偏頗弁済、財産の隠匿などが挙げられます。とくに注意したいのは浪費や賭博です。FXで一時的に得た利益で高額な買い物をしたり、頻繁に旅行などをしていると、免責不許可事由に当てはまると判断されてしまいます。
FXで借金を抱えてしまった場合に限らず、過去7年以内に免責を受けている人は再度免責を受けることができません。再度免責を受けるためには、以前の免責より7年以上経過していなければならないのです。
しかし、前回も投資による借金が理由で自己破産をして免責を受けたのにも関わらず、今回も同じようにFXで借金を抱えた場合は、反省の態度や生活再建の見込みがないで判断され、裁量免責が認められにくいでしょう。
FXでふくらんだ借金を債務整理することは可能ですが、自己破産の手続きを行う場合には、管財事件にならないよう注意が必要です。そもそも債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つがあり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。どの手段をとるべきかはケースバイケースのため、自身で判断するよりも専門家に相談したほうが良いでしょう。